GMTマスターII Ref.116710LN オーバーホール その1


GMTマスターII のオーバーホールをご紹介します。
・リファレンス:Ref.116710LN
・年式:ランダム品番(2012年製)
・症状:-
今回は、GMTマスターII(Ref.116710LN)のオーバーホール写真とともに、搭載されるムーブメント(Cal.3186)の良い点、悪い点をご紹介します。
Cal.3185の後継機種となるCal.3186は、GMTマスターII やエクスプローラーII といったGMT機能を持つモデルに搭載されるムーブメントです。採用は、2005年に発表されたGMTマスターII(Ref.116718LN)からになります。
Cal.3185からの主な変更点は、美しいブルーのパラクロム・ヒゲゼンマイの採用と、短針(時針)の単独操作を可能にする機構の大幅変更になります。
今回は、短針の送り機構について詳しく解説いたします。
パラクロム・ヒゲゼンマイについての詳しい説明は次の機会にさせていただきます。



写真は、短針(時針)を単独で操作するための要となるパーツです。これによって針のズレが軽減して、4本の針がどのポジションでも揃いやすくなっています。
また、短針はダイヤルに最も近い位置にセットされる針ですが、操作時の針の振れが軽減されているため、文字盤との接触による破損も減っています。


しかし、変更によるデメリットも存在します。
採用当初のCal.3186は、歯車を押さえているバネが短く、折れてしまうことが多かったので、採用から数年で写真のものに改良されました。


写真は、送り機構のポストのアップになります。
この部分は、摩耗してしまっていることが多いです。


今回ご紹介した(新品の状態から6年経過)個体でも摩耗が発生しておりました。

今回の症状は、日常的に防止策を講じるのは困難です。
唯一の対策は、重症化する前にメンテナンスに出すことですので、定期的なメンテナンスをおすすめします。



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