今回は、デイトナに搭載されているムーブメントの比較についてご紹介します。
・リファレンス:Cal.4030、Cal.4130
・年式:-
・症状:ムーブメントの比較
ロレックス デイトナのクロノグラフムーブメントと言えば、ゼニス社のエル・プリメロをベースとしてロレックスが独自に改良を加えたことで知名度の高い機械です。これまでも多くの媒体を通して紹介されていますが、その中でも今回は、分解洗浄時のクロノグラフ機構部分を詳しく見てみましょう。
まずこちらは、ムーブメントCal.4030のクロノグラフ機構の部品です。
そして、現行型に搭載されているムーブメントCal.4130のクロノグラフ機構の部品です。
クラッチ部品の比較写真です。
Cal.4030は横にスライドすることで動力の切り替えを行うのに対し、Cal.4130は縦方向に切り離すことで動力の切り替えを行います。さらに、平たいカムがセットされているのでクロノ針のリセットまで対応します。
Cal.4030の写真です。
組み上げていくときは、ゼンマイからテンプまでを先に組み、最後にクロノグラフ機構を取り付けます。
クロノ機構がムーブメント全体に及び、更に裏側(ダイヤル側)にも12時間積算計がセットされています。
Cal.4130の写真です。
先にクロノグラフ機構の一部から組み上げていきます。
スタート・ストップの基本動作部分が、ムーブメントの一部分だけに集中しています。
ゼンマイからテンプを組みます。
その上にクラッチ、積算計の車、クロノ車、ハンマーをセットします。
積算計の位置が変更されたことで、クロノ機構を集約出来ています。その結果、部品点数が削減し、メンテナンス性の向上にも貢献しています。整備性が飛躍的に向上されたCal.4130はロレックスの傑作ムーブメントと称されています。
それに比べるとCal.4030は部品点数が多いために調整箇所が多く、メンテナンス性に劣ります。
しかし、Cal.4030が登場したことで後継機のCal.4130が作り出されたことを考えると、複雑な機械式時計ならではのヒストリーを感じることができ、機械式時計を所有する楽しみの一つと言えると思います。
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