デイトナ Ref.116520
オーバーホール

デイトナのオーバーホールをご紹介します。

不良個所が多数あったCal.4130の不良部品をご紹介します。
Cal.4130は、ロレックスが自社開発した自動巻きクロノグラフ・ムーブメントで、第5世代のデイトナから搭載されています。

フライバックレバー
クロノグラフ針をリセット（帰零）させる際、プッシャーが最初に押すパーツになります。
写真左のフライバックレバーには錆が発生しており、プッシャーからの浸水の可能性があります。
※写真右：新品のフライバックレバー

クラッチ
クロノグラフの動力をON（伝達）／OFF（遮断）する機構になります。
Cal.4030は水平クラッチでしたが、Cal.4130では垂直クラッチが採用されました。

クラッチの別角度写真です。
クラッチは複数のパーツで構成されています。
外見からは分かりませんが、内部の動作が悪く、ゼンマイからの動力を大きくロスしており、精度に影響を及ぼしていました。

角穴車
主ゼンマイを収める香箱の上に取り付けられるパーツになります。
歯車の一部に欠けがありました。

コハゼ
角穴車の逆回転を防ぐパーツになります。
このパーツがないと、ゼンマイを巻き上げても角穴車が逆回転してしまい、テンプに動力が伝わりません。

コハゼ
固定しているネジを外すと、錆が発生しており、動きが悪くなっていました。

コハゼを外した受け部分の写真です。
こちらにも錆が発生していました。

今回は、多数の交換パーツが発生しましたが、各受けに傷を残すようなトラブルはありませんでした。通常のオーバーホールを行うことで、機能を回復することができました。