オーバーホールの必要性

アンクル不良


今回は、アンクル不良についてご紹介します。

・リファレンス:Cal.3131、他
・年式:-
・症状:アンクル不良
アンクルとは、機械式時計のムーブメントに含まれる部品です。
ゼンマイを巻き上げることで生じたエネルギーを、調整しながら補給する役割を担うのが脱進機ですが、この脱進機をガンギ車と共に構成している部品がアンクルです。
アンクル不良につきまして、2件の症例をご紹介します。
1件目:すぐに止まってしまうという症状で、メンテナンスに至りました。
テンプの動きが弱々しく、かろうじて動いているような状態で当然精度も出ていません。




特に問題ないように見えますが⋯⋯。

横から見ると一目瞭然でした。
入ツメが大きくズレており、ガンギ車の歯先とうまく嚙み合わないために、ゼンマイの力を大きく失う結果となっていました。

2例目:不動にてメンテナンスになりました。
時計自体は止まっていましたが、軽く振ると秒針が20秒程の幅を一気に動くという症状が出ていました。

ゼンマイは寄りや断線もなく正常でした。止まってしまうような汚れやオイル切れも見当たりません。

よくアンクルを見てみると、ツメ石が外れていました。

アンクルのツメ石は、取り付け位置を調整できるようにシェラックという加熱すると柔らかくなる接着剤で留まっています。
今回は、このシェラックの固定が弱かったことが原因と考えられます




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