オーバーホールの必要性

破損の連鎖


今回は、破損部品が多数発生したCal.3135をご紹介します。

・リファレンス:Cal.3135
・年式:-
・症状:オーバーホール
オーバーホールに持ち込まれた初期状態でリューズが空回ってしまい、ゼンマイが巻けない状態でした。そのため、ある程度の不良個所があると予想していました。早速、ムーブメントの内部を確認してみましょう。



リューズを手巻きしてみると、角穴車(写真下側の黄色い歯車)が回る構造ですが、全く回りません。どこで力が途切れているのか調べてみます。

角穴車の歯が欠けていました。

切替車の拡大写真です。

中間車の拡大写真です。

丸穴車の拡大写真です。こちらも歯が酷く欠けていることがわかります。早い段階で不具合が出ていたと考えられますが、その後も強引に使用し続けたことがわかります。

そもそもの原因はどこだったのでしょうか。
自動巻き機構を見てみますと、巻上車の歯が酷い状態でした。

巻上車はホゾも折れていました。
こちらの部品は、時計を落下させてしまうなどの強い衝撃を与えてしまうと折れてしまうことがあります。

こちらのホゾが折れたことでスムーズな巻上操作が出来なくなっていました。その状態でリューズの巻上操作を続けてしまったことで、破損の連鎖が起きてしまったと考えられます。

巻上車のホゾが折れた時点で、巻上時に大きな違和感が発生するはずです。その時点で修理にお持ちいただければ今回の様な多数部品の破損ということは防げていたと思います。機械式時計は小さな部品の集合体です。普段とは異なる違和感がある際は、お近くのクォーク店舗までご相談ください。



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